POETRY

食後のデザート

林檎を選ぶ 蜜柑を選ぶ
苺を選ぶ 葡萄を選ぶ
選べませんを選ぶ
選びませんを選ぶ

責任を何処へ押し付けるか
人の所為で自分を護るか
自分の所為で人を護るか
人を護るという自分を護っているのか

無限に巣食う原因を
無限の人々が一つに絞れる訳も無く
人の所為にしないのは
言わば皆の所為だから

大人の事情に欺かれるならば
もっとしっかり欺かれ給え
自由に生きていいならば
六法全書を疑い給え

“選べない事を選んでる自覚が無い”
それだけは選ぶべからず
君は多分 死ぬまで気付かないけれど

林檎を選ぶ 蜜柑を選ぶ
苺を選ぶ 葡萄を選ぶ
選べる自分を選ぶ

 

制作年 2016/0721
2016-07-30 | Posted in POETRYComments Closed 

 

蟲と僕

ある日僕の部屋に蟲が出た
酷く奇怪で劣悪な姿形に吐き気がした
僕はそいつを必死に潰した
潰れた姿もそれまた残虐で吐き気がした

その日から毎日僕の部屋に蟲が出た
僕は毎日そいつを必死に潰した
嫌なものが潰れていく感覚に
喉に込み上げる妙な快感があった

季節は変わって蟲はいなくなった
寂しさを覚えたのは過去故の美化か
酷く毛嫌いしたそいつさえ
僕の生活の一部になっていたのだ

蟲が僕を攻撃した事はなかった
僕が一方的にあいつの姿形を咎めただけ
初めて僕は僕を客観視した
共存というのは罪が無くとも
美意識の違いだけで排除の対象と
なるらしい

あいつの間違いでも僕が間違いでも無く
ただあいつは赴くまま部屋に現れ
僕は赴くまま殺しただけ

ある日僕の身体から蟲が湧いた
酷く奇怪で劣悪な
それでいてどこか愛らしく
劣悪というのは僕の言い様で
あいつにとって僕は劣悪で
あいつは僕の行動から湧き出た蟲で
それでも敵と見做す感情も事実で
僕が生きている以上
あいつだって生きてるんだ
一方的な殺戮に於ける妙な快感だけは
今じゃ罪悪感
これからは平等に殺し合い
平等に語り合おう

 

制作年 2016/0426
2016-07-30 | Posted in POETRYComments Closed 

 

世界が亡くなる一日前に

世界が亡くなる一日前に
僕らは少しの贅沢をしよう
血相が変わった空を
恐れて窶れた食卓から
飛び出した僕らは勝ち組だ

だって世界はいつか亡くなるのだ

世界が亡くなる一日前に
僕らは少し遠い丘を歩こう
喉で藻掻く詩を嗽しよう
たとえそれが嬉しい詩でも
たとえそれが悲しい詩でも

だって世界はいつか亡くなるのだ

世界が消えた一日後に
拙い食事で我慢しよう
冷蔵庫に明日の予定を書き記そう
的外れの代償を支払おう

だって世界は始まったのだ

 

制作年 2014/1016
2016-04-02 | Posted in POETRYComments Closed